NFTの人気が高まる一方で、見過ごせないのが「著作権問題」です。
デジタルアートや音楽などをNFTとして取引する際、
知らずに著作権を侵害してしまうケースが増えています。
たとえば「他人の作品を無断でNFT化」「NFTを買ったから自由に使っていい」といった誤解が、
法的トラブルの原因になることも。
本記事では、NFTと著作権の基本から、よくあるトラブル事例、出品・購入時の注意点、
そしてリスクを回避するための具体的な対策までを徹底解説します。
NFTを安心して楽しむためにも、著作権リテラシーをしっかりと身につけておきましょう。
- NFTと著作権の関係性
- よくあるトラブル事例
- NFT購入時・出品時の注意点
- 著作権リスクを回避するための対策
NFTと著作権の基本
NFTとは?
NFT(Non-Fungible Token)とは、「非代替性トークン」と訳され、
ブロックチェーン技術を活用して、唯一無二のデジタル資産を証明するものです。
たとえば、デジタルアートや音楽、ゲーム内アイテムなどのデータは簡単にコピーできますが、
「NFT化」することで、その作品が“正規品”であることや所有者が誰かを明示できるようになります。
著作権とは?
著作権は、創作物を作った人が持つ権利で、作品の複製・公開・販売などをコントロールできます。
NFTを作成・販売する際にも、この著作権が関わってきます。
著作権が守る行為例:
- 複製(コピー)
- 公開(ネット上に載せる)
- 翻案(アレンジや二次創作)
- 販売(営利利用)
NFTでよくある著作権問題
他人の作品を勝手にNFT化
これは現在最も問題視されている著作権侵害行為のひとつです。
例えば、以下のような行為は違法です:
- SNSやイラストサイト(Pixivなど)で見つけた画像を許可なくNFT化
- 有名人の写真やアニメのキャラクターを無断でNFTにする
- 「フリー素材」と書かれているものを商用利用可能か確認せずNFT化
実際の事例:
Twitterで人気のイラストレーターの画像が無断でNFTとして販売されたケースでは、
販売者が損害賠償請求され、アカウントが凍結される騒動に発展しました。
NFT購入で著作権を得たと誤解する
多くの人が「NFTを買った=その作品を自由に使える」と思いがちですが、これは大きな誤解です。
NFTの購入者は「所有権」は得られますが、通常「著作権」は得られません。
作品を勝手に再販・加工・商用利用することはNG。著作者からの明確なライセンス表示が必要です。
例:
- NFTで購入したイラストをTシャツにして販売 → ✕(著作権者の許可が必要)
- NFTの画像をアイコンにしてSNSで使う → △(規約やライセンス条件による)
NFTの販売ページに使用許諾(ライセンス)が明示されているかどうかを必ず確認しましょう。
自作の二次創作をNFT化して炎上
二次創作とは、既存のキャラクターや作品を元にして新たに作られた創作物(ファンアートなど)です。
日本ではグレーゾーンとされることもありますが、営利目的のNFT販売に使った場合、
以下のような問題が生じます:
- 原作権利者に無断で販売 → 著作権侵害
- 商標やキャラデザインの利用 → 商標権やパブリシティ権の侵害
実際の炎上例:
ジブリ風のイラストをNFT化して販売 → 「ジブリっぽい」とSNSで批判 → 公式から削除要請
対策:
- 元ネタの使用許可があるか調べる
- オリジナルキャラで制作するか、「ライセンス提供元と提携」する
NFT出品・購入時の注意点
著作権の所在を確認する
出品する際は、自分が100%の著作権を保有しているか、
または権利者から使用許諾を得ているかを必ず確認しましょう。
自分が著作権を持っているか確認する方法:
- 完全に自作したイラストや音楽 → ✅ OK
- 既存の写真素材、フォント、音源などを使用 → ⚠️ 利用規約を確認
- AI生成画像を使用 → ⚠️ 著作権の帰属が不明確なケースが多い
特に注意すべき素材:
- フリー素材サイトの素材(商用利用可能か、改変可能かの確認必須)
- 合成やコラージュした作品(元素材の著作権が残っている場合あり)
ライセンス内容を明示する
NFT販売ページには「商用利用可」「二次利用禁止」など、
購入者に許諾される範囲をわかりやすく記載するのがトラブル防止に役立ちます。
明示するべき内容の例:
- ✅ 個人利用のみ許可/商用利用可
- ✅ 再配布不可/加工可・不可
- ✅ SNSでの使用はOKだが印刷販売はNGなど
具体的な表示方法:
- OpenSeaなどのNFTマーケットプレイスでは「プロパティ」欄や説明欄に記載
- 外部サイト(公式サイト)に「利用規約ページ」へのリンクを貼るのも効果的
信頼できるマーケットプレイスを利用する
Coincheck NFTやOpenSeaなど、著作権への対応が明示されている
信頼性の高いNFTマーケットプレイスを選びましょう。
日本でおすすめのマーケット:
- 🔹 Coincheck NFT
国内企業が運営し、法規制や本人確認が徹底されている。日本語サポートも安心。 - 🔹 LINE NFT
LINEアカウントと連携でき、利用ハードルが低い。著作権に配慮したNFTプロジェクトが多い。 - 🔹 OpenSea
世界最大手。権利侵害の通報機能やDMCA対応あり。利用者が多く流通性も高いが、
英語が必要な場面も。
選ぶポイント:
- 通報・削除対応があるか
- ライセンス情報の記載欄があるか
- 出品者の本人確認が必須かどうか
実際に起きたNFT著作権トラブル事例
Twitterアートの無断NFT化事件
あるアーティストのTwitter投稿作品が無断でNFT化され販売される事例が発生。
アーティスト本人が抗議し、NFTは削除されましたが、すでに購入者もいたことで混乱が生じました。
Ghibli風NFTと著作権侵害
ジブリ作品に酷似したアートをNFTとして販売した事例も。
明確に商標や著作物に抵触していた場合、損害賠償や法的リスクに繋がります。
NFTと著作権に関するよくある質問(FAQ)
Q. NFTを買えば画像を自由に使える?
A. いいえ。通常は観賞用の権利のみで、再利用や商用利用には制限があります。
Q. 自作のアートなら自由にNFT化できる?
A. 基本的には可能ですが、背景に使用した画像やフォントなどにも
著作権が関係していないか確認しましょう。
まとめ|NFT時代に必要な「著作権リテラシー」
NFTはデジタル資産の新しい形として魅力的ですが、著作権の理解なしには思わぬ落とし穴があります。
以下のポイントを押さえて、安全にNFTを楽しみましょう。
- 著作権は自動的に付与される権利であり、NFT購入=著作権取得ではない
- 他人の作品の無断NFT化は違法行為に該当する可能性が高い
- 販売時にはライセンス条件の明示がトラブル防止につながる
- 信頼できるマーケットプレイスの利用でリスクを最小限に抑える
今後もNFT市場は拡大が予想されるからこそ、「著作権に強い個人」が求められます。
自分を守るためにも、正しい知識を身につけましょう。