仮想通貨は価格変動が激しい…そんなイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、「ステーブルコイン」は例外的に価格が安定しており、送金や取引、資産保全などに広く使われています。
では、なぜステーブルコインは安定しているのでしょうか?本記事では、価格安定の仕組み・メリット・注意点をわかりやすく解説します。
- ステーブルコインの基本と種類
- なぜ価格が安定するのか、その仕組み
- 投資や送金でのメリット
- 代表的なステーブルコインと選び方
- ステーブルコインを入手する方法
ステーブルコインとは?
ステーブルコインとは、法定通貨や資産に価値が連動する仮想通貨です。
例えば米ドルと連動する「USDT(テザー)」や「USDC」は、1枚あたりほぼ1ドルで取引されます。
これにより、ビットコインやイーサリアムのような価格の大幅変動が起きにくいのが特徴です。
ステーブルコインが安定している理由
1. 法定通貨担保型(Fiat-Collateralized Stablecoin)
法定通貨担保型は、米ドルや日本円などの法定通貨を銀行口座に保管し、その額に応じて発行されるステーブルコインです。
例えば、発行会社が1億円を銀行に預けていれば、その範囲で同額のステーブルコインを発行できます。
価格安定の理由
- 1USDC = 1ドルになるように設計されており、発行量は保有する法定通貨の額と常に一致します。
- ユーザーが換金を希望すれば、発行会社は銀行口座の法定通貨を使って1対1の比率で交換します。
- これにより市場価格がほぼ常に1ドル付近に保たれます。
メリット
- 価格の安定性が高い(法定通貨が価値の裏付け)
- 発行元が明確で信頼性が高い(監査報告を公開している場合も多い)
デメリット
- 発行会社が資産を不正利用・破綻した場合は価値が崩れる
- 発行元が中央集権的(ブロックチェーンの非中央集権性が薄れる)
代表例
- USDT(Tether)
- USDC(USD Coin)
- BUSD(Binance USD)
2. 暗号資産担保型(Crypto-Collateralized Stablecoin)
暗号資産担保型は、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保にして発行されるステーブルコインです。
これは分散型金融(DeFi)の世界でよく使われる方法で、スマートコントラクトを通じて担保がロックされます。
価格安定の理由
- 暗号資産は価格変動が激しいため、担保は過剰に積む(例:1ドル分のステーブルコインを発行するために2ドル分のETHを預ける)
- 担保価値が下がりすぎると、自動的に担保を清算し、発行量を調整して価格を安定化させます。
メリット
- 発行元が存在せず、非中央集権的に運営できる
- ブロックチェーン上のスマートコントラクトで担保状況が公開されており透明性が高い
デメリット
- 担保にする暗号資産の価格下落リスク
- 過剰担保が必要なため、資金効率が悪い
代表例
- DAI(MakerDAO)
3. アルゴリズム型(Algorithmic Stablecoin)
アルゴリズム型は、担保資産を持たず、需要と供給を自動的に調整するプログラムで価格を安定させるステーブルコインです。
まるで中央銀行が通貨供給量を調整して物価を安定させるように、発行量を増減して1ドルを維持します
価格安定の理由
- 市場価格が1ドルを上回ると、新しいコインを発行して供給量を増やし、価格を下げる
- 市場価格が1ドルを下回ると、コインを買い戻したり焼却(バーン)して供給量を減らし、価格を上げる
メリット
- 担保資産が不要で、理論上は資金効率が高い
- 完全に自律した分散型システムを作れる
デメリット
- 市場の信頼が揺らぐと価格が崩壊しやすい
- 過去にTerraUSD(UST)が崩壊した事例があり、慎重な利用が必要
代表例
UST(TerraUSD:崩壊済)
AMPL(Ampleforth)
ステーブルコインを利用するメリット
1. 価格変動リスクが低い
仮想通貨といえば「1日で数%〜数十%動く」という激しい値動きが特徴ですが、ステーブルコインは法定通貨や資産と連動しているため、価格がほぼ一定に保たれます。
例えば、米ドル連動型のUSDCは常に**1USDC ≒ 1ドル(約150円)**前後で推移します。
- 具体例
- ビットコイン:1日で5〜10%の変動も珍しくない
- ステーブルコイン:変動幅は±0.5%以内がほとんど
この安定性により、資産価値を守りやすく、長期的な取引や保有に向くのです。
2. 送金・決済がスムーズ
ステーブルコインはブロックチェーン上で送金・決済が行えるため、国境を越えた取引でも高速かつ低コストです。
- 海外送金の比較
- 銀行送金:1〜3営業日、手数料2,000〜5,000円
- ステーブルコイン送金:数分〜1時間、手数料数十円〜数百円
さらに、受け取った相手がすぐに利用できるため、海外取引やフリーランスの報酬受け取りにも適しています。
特にUSDTやUSDCは多くの取引所・ウォレットに対応しており、利便性が非常に高いです。
3. 投資の避難先になる
仮想通貨市場は相場の急落(暴落)が頻繁に起こります。
そんな時、資産を一時的にステーブルコインに変えることで価値を守れるのです。
- ケース例
- ビットコインが急落しそうなときにBTC→USDCに交換しておけば、下落の影響を回避可能
- 相場が安定したら再びBTCやETHに戻すことで、効率よく資産を運用できる
この性質は「安全資産への避難」という意味で、株式投資における現金化や国債購入と似ています。
仮想通貨取引の世界では、これを「USDTに逃げる」などと呼ぶこともあります。
代表的なステーブルコイン
1. USDT(Tether)
USDTは、世界で最も取引量が多いステーブルコインです。
米ドルと1:1で連動し、発行主体はTether Limited(香港拠点)です。
法定通貨担保型で、米ドルなどの資産を裏付けとして発行されます。
特徴
- 取引量・流通量ともに世界最大
- 多くの取引所・ブロックチェーン(Ethereum、Tron、BSCなど)で利用可能
- ビットコインやアルトコインの取引ペアとして最も多く使われる
メリット
- 流動性が非常に高く、交換がスムーズ
- 海外取引所でほぼ必ず対応している
注意点
- 準備金の透明性に関して過去に指摘があり、定期的な監査が重要
- 米国などで規制の対象になりやすい
2. USDC(USD Coin)
概要
USDCは、米国のCircle社と大手取引所Coinbaseが共同で発行する米ドル連動のステーブルコインです。
こちらも法定通貨担保型で、準備金は米国の銀行や短期国債で保管されています。
特徴
- 米国規制に準拠し、透明性が高い
- 月次の監査報告を公開
- 主にEthereumやPolygon、Solanaなど複数のネットワークで利用可能
メリット
- 信頼性が高く、規制面で優位
- 国内外の取引所・ウォレットで広く対応
注意点
- USDTほどの取引量はないため、一部の海外取引所ではペアが少ない
- 発行元が米国の規制に従うため、国際情勢の影響を受ける可能性あり
3. DAI(MakerDAO)
DAIは、MakerDAOという分散型自律組織(DAO)が発行する暗号資産担保型のステーブルコインです。
ETHやUSDCなどの暗号資産を担保にして発行され、中央集権的な発行元が存在しません。
特徴
- 完全分散型で、スマートコントラクトにより管理
- 担保は過剰に積まれ(例:1DAI発行に1.5倍以上の価値の担保)、価格を安定化
- Ethereum上で主に利用されるが、マルチチェーン展開も進行中
メリット
- 発行元が存在せず、検閲耐性が高い
- ブロックチェーン上で担保状況が公開され透明性が高い
注意点
- 担保となる暗号資産の価格急落時には清算リスクあり
- 過剰担保のため、資金効率が低い
ステーブルコインを入手する方法
1. 仮想通貨取引所で口座開設(無料)
まずは日本国内の仮想通貨取引所で口座を作ります。
国内取引所は金融庁に登録されているため、セキュリティや規制面で安心です。
- おすすめ取引所
- Coincheck(初心者向け、アプリ操作が簡単)
- bitFlyer(国内最大級のユーザー数)
- GMOコイン(入出金手数料が無料)
開設手順
- 公式サイトにアクセス
- メールアドレスとパスワードを登録
- 本人確認(運転免許証やマイナンバーカードをスマホで撮影)
- 審査が完了すれば、口座開設は完了
2. 日本円を入金
口座開設が完了したら、取引所に日本円を入金します。
- 入金方法
- 銀行振込(ネットバンキング・ATMから)
- コンビニ入金
- クイック入金(即時反映)
注意点
- 銀行振込は手数料が安くおすすめ
- 入金先の口座名義は本人名義でないと反映されない
3. ビットコインやイーサリアムを購入
多くの国内取引所では、ステーブルコインを直接購入できません。
そのため、まずは海外取引所で取引可能なビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を購入します。
購入の流れ
- 取引所のアプリまたはウェブ画面で「販売所」や「取引所」を開く
- 購入する通貨(BTCまたはETH)を選択
- 購入額を入力して注文確定
💡 ポイント:ETHは手数料(ガス代)が安く、海外取引所への送金にも使いやすいです。
4. 海外取引所でステーブルコインに交換
国内で購入したBTCやETHを、BinanceやBybitなどの海外取引所へ送金し、ステーブルコイン(USDTやUSDCなど)に交換します。
流れ
- 海外取引所で口座を作成(メール登録と本人確認)
- 入金アドレスをコピー(例:ETHアドレス)
- 国内取引所から海外取引所のアドレスへ送金
- 着金後、現物取引でUSDTやUSDCに交換
まとめ
ステーブルコインは、法定通貨や資産との連動により価格が安定する仮想通貨です。
投資の安全資産や海外送金など幅広く活用できる一方、発行元の信用や規制にも注意が必要です。
これからステーブルコインを活用するなら、まずは信頼できる取引所で口座を開設し、安全に運用を始めましょう。