フィッシングは、注意していても忙しいタイミングで判断が鈍り、被害につながりやすい手口です。
そこで本記事では注意喚起ではなく、踏まないための仕組みと、万一突破されても致命傷になりにくい設定を手順で整理します。
対策は次の3段階です。
- 入口を塞ぐ(偽リンク・偽サイトを開かない)
- 突破されにくくする(情報が漏れてもログインされにくい)
- 被害を最小化する(侵入されても出金されにくい)
後半では「踏んだかもしれない/入力したかもしれない」場合の即時対応もまとめます。
まずはこちら:仮想通貨取引所の選び方
フィッシングとは何か
フィッシング(phishing)は、
「本物そっくりの偽物(サイト・メール・SMS・DM)に誘導して、ログイン情報や認証コードを入力させて奪う詐欺」です。
暗号資産で狙われるのは主にこの2つです。
- 取引所のログイン情報(メールアドレス、パスワード、認証コード)
- ウォレット操作(“接続”や“署名”をさせて資産を動かす)
なぜフィッシングは引っかかるのか
フィッシングは心理を突いてきます。
代表パターンはこれです。
- 急がせる:「緊急」「凍結」「期限」「不正アクセス」
- 不安にさせる:「本人確認が必要」「今すぐ対応しないと停止」
- 得をちらつかせる:「限定キャンペーン」「配布」「当選」
結論としては「焦らない」ではなく、焦っても事故らない導線にするのが正解です。
結論:フィッシング対策は3レイヤーで潰す
やることを「強い順」に並べます。
上から順にやると効率がいいです。
- 入口を塞ぐ(偽リンクを踏まない・偽サイトを開かない)
- 突破されにくくする(ID/パスが漏れてもログインされにくい)
- 被害を最小化する(万一入られても出金されにくい)
入口を塞ぐ(偽リンクを踏めない仕組み)
フィッシングは「偽サイトに行かせる」ことから始まります。
最優先は、偽サイトへ行く機会を物理的に減らすことです。
取引所・ウォレットは「ブックマークからしか開かない」
- 検索結果、SNS、広告、メールのリンクから開かない
- 必ず自分のブックマークから入る
- ブックマークは“正規URLを確認してから”一度だけ登録する
正規URLの確認は「ドメインだけ」を見る(見た目は捨てる)
偽サイトはロゴも配色も本物そっくりです。
見るべきは1か所だけです。
- アドレスバーのドメイン(例:example.com の部分)
- ドメインが1文字でも違えば偽物
ありがちな罠:
- それっぽい文字列を前に付ける(例:
coincheck-***.com) - 似た文字で誤魔化す(l と I、o と 0、全角混入など)
メール・SMSのリンクは「押さない」が基本。必要なら公式から入り直す
- “緊急”系の通知ほど、リンクは押さない
- 必要なら、ブックマークから公式へ行って「お知らせ」「通知」「履歴」を確認
パスワードは「手入力しない」運用にする
- OSやブラウザのパスワード保存・自動入力を使う
- 自動入力が出ないときは、偽サイトの可能性を疑って止まれる
ブラウザ拡張機能は最小限
- 拡張機能は閲覧データに触れられるものが多い
- 使っていない拡張は削除
- 入れるなら用途が明確なものだけ
突破されにくくする
入口対策をしても100%は無理です。
次は「万一漏れても突破されにくい」状態を作ります。
パスワードの使い回しをやめる
- 使い回しは、どこか一つ漏れたら連鎖で終わる
- 取引所ごとに別パスワード
- 長め(最低でも12文字以上、可能ならもっと)
ログイン通知・重要操作通知はON
- ログイン、パスワード変更、出金申請などの通知をON
- 通知が来てもリンクは踏まず、公式へ入り直して確認
“ログイン状態を保持”はオフ寄り
- 外出先PCや共有端末で保持は危険
- 使い終わったらログアウト
- 端末を変えたら古い端末のログイン状態も整理
被害を最小化する
最悪ケースでも「全部抜かれる」を防ぐために、出金や送金に“壁”を作ります。
出金先(送金先)アドレスのホワイトリストがあれば使う
- 登録済み以外へ送れない設定があればON
- 追加・変更に時間ロックがあるなら有効化
出金限度額が設定できるなら下げる
- 普段は低く固定
- 大きな出金は“その日だけ”上げる
触る資産と保管資産を分ける
- 日常で使う分だけ取引所やホット側に置く
- それ以外は動かさない前提で管理
仮想通貨取引所のセキュリティ対策まとめ
典型パターン別:この手口はこう潰す
攻撃の入口はだいたい決まっています。
パターンを知ると条件反射で止まれます。
取引所を装うメール:リンクを押さず公式から確認
- 対応:ブックマークからログイン → お知らせ確認
- NG:メールのリンクでログイン
SNSの偽キャンペーン:DM・配布・限定は疑う
- 対応:公式名でもリンク先のドメイン確認
- NG:勢いで接続ボタン連打
検索広告の偽サイト:検索で開かない
- 対応:ブックマーク運用
- NG:上位表示を安全と勘違い
サポートなりすまし:相手主導の誘導は拒否
- 対応:こちらから公式ページへ行って問い合わせ
- NG:画面共有、コード入力、リンククリック
これだけやれば最低限クリア:チェックリスト
全部やろうとすると続きません。
まずは事故率が下がる順に固定でやってください。
- 取引所/ウォレットはブックマークからしか開かない
- ログイン前にドメインだけ確認する
- メール/SMSのリンクは押さず、公式から入り直す
- パスワードを使い回さない(自動生成・自動入力)
- ログイン/出金など重要通知はON
- 出金ホワイトリスト/出金限度額など制限系を設定
- 触る資産と保管資産を分ける
- 不要なブラウザ拡張は削除
もし「踏んだかも」「入力したかも」の即時対応
迷っている時間が一番損です。
上から機械的に処理してください。
- パスワード変更(同じパスワードを使っている他サービスも全部)
- 全端末ログアウト(機能があれば)
- 出金制限を最大化(限度額を下げる、送金先制限を有効化など)
- 履歴確認(ログイン履歴・出金履歴)
- 公式サポートへ連絡(リンクから行かず公式から)
よくある質問(FAQ)
- Qフィッシングって何?
- A
偽物に誘導して、ログイン情報・認証コード・ウォレット操作をさせて奪う詐欺。
- Q「緊急」「凍結」「不正ログイン」メールが来たら?
- A
リンクは押さない。ブックマークから公式を開いて通知/履歴を見る。
- Qウォレットを「接続」しただけでも危険?
- A
危険。次に署名/承認を求めて抜く流れが多い。見覚えない操作は止める。
- Qアプリなら安全?
- A
安全とは限らない。偽アプリもある。入れるのは公式ストアから。
- Q最優先でやることは?
- A
ブックマーク運用とリンクを踏まない(公式へ入り直す)。
まとめ:フィッシングは「注意」ではなく「導線」で勝つ
- 最優先は ブックマーク運用 + ドメイン確認(入口封鎖)
- 次に 使い回しゼロ + 通知ON(突破阻止)
- 最後に 出金制限(被害上限)



